薬剤師のキャリアは調剤や病院だけではありません。
CROや製薬会社、一般企業などで専門性を活かす道があります。
企業で働く薬剤師は年収やスキルの伸びしろが大きい傾向です。
40代や50代のキャリア転換にも現実的な選択肢になります。
本記事では薬剤師 企業転職の基本とCRO・製薬会社・一般企業の働き方比較をまとめます。
未経験での入り口や必要スキル、エージェント活用も解説します。
1. 企業薬剤師のメリットとデメリットを俯瞰する
まずは企業で働くことの良し悪しを整理します。
メリットは次のとおりです。
- 年収が比較的高めで、評価の基準が明確になりやすい
- 土日休みが多く、ワークライフバランスを整えやすい
- 研究・開発・品質・学術など、多様な職種で専門性を磨ける
デメリットは次のとおりです。
- 語学や統計、薬事などの専門知識を求められる場面が多い
- 選考が競争的で、職務経歴書の再構成が必須になる
- 調剤や対人支援の実地スキルが薄れる可能性がある
企業転職はキャリアアップを狙う人に向きます。
一方で臨床現場に軸足を置きたい人には合わない場合があります。
自分の軸を早めに決めて、選考の的を絞りましょう。
2. CROで働く薬剤師｜役割・年収・向き不向き
CROは製薬企業から臨床試験を受託する会社です。
薬剤師が活躍できる主要ポジションは次のとおりです。
- CRA（臨床開発モニター）：試験進捗と品質を担保する中核職
- DM（データマネジメント）：症例データの品質管理と集計設計
- PV（ファーマコビジランス）：安全性情報の収集と評価、当局報告
仕事内容は、試験計画に沿った進捗管理、安全性データの収集、報告書作成などです。
医療機関や社内外関係者との連携が多く、調整力が問われます。
年収相場はCRAで500〜700万円が目安です。
経験を積むと800万円超のケースもあります。
向いている人は、コミュニケーションが得意で、段取り力が高い人です。
出張対応に抵抗がない人にも合います。
未経験の入り口は学習の見える化が鍵です。
GCP、ICH、英語論文の読解ログ、統計の基礎理解を職務経歴書に落とし込みましょう。
Excel関数やピボットの実務活用も評価されます。
3. 製薬会社で働く薬剤師｜王道の職種とキャリア
製薬会社は企業薬剤師の花形です。
研究から市販後まで多くの職種があります。
- 研究職：探索から前臨床を担うことが多い。博士号を要件にする企業もある
- 開発職：臨床試験の計画や申請業務を担う
- 品質保証・品質管理：GMPに基づく製造と品質の維持向上を担う
- メディカルアフェアーズ：医療関係者への科学的情報提供やエビデンス構築を担う
年収相場はおおむね600〜900万円です。
外資やグローバル関与が大きい部門では報酬が上振れする傾向です。
英語は配属先で要求水準が変わります。
学術文献の読解や、会議での発言を求められる場面が増えています。
研究職志望で臨床バックグラウンド中心の方は、開発・薬事・安全性・QAからの回り道も現実的です。
4. 一般企業で働く薬剤師｜製薬以外の舞台を知る
製薬以外の一般企業でも薬剤師は価値を発揮できます。
代表的なフィールドは次のとおりです。
- 食品・化粧品：品質保証、安全性評価、表示適合の確認
- IT・ヘルステック：電子薬歴、遠隔服薬指導、PHRなどの企画と運用
- コンサルティング：医療・製薬領域の調査、戦略立案、実行支援
年収の目安は500〜700万円が中心です。
事業が伸びる局面では役割拡張や昇給の機会が多いです。
臨床の経験をプロダクト開発やリサーチに翻訳できると評価が上がります。
医療現場での痛点を、要件定義やUI改善に落とし込む力が武器になります。
5. 企業転職を成功させる準備｜スキルと書類
臨床から企業へ移る時は、スキルを企業言語に変換します。
次の5点を押さえましょう。
- 英語力：メール、議事録、論文読解の実務レベルを示す
- PCスキル：Excelの関数、ピボット、PowerPointの図解力を具体化
- 規制理解：GCP、GMP、GPSP、GVPなどの基礎を整理
- 臨床経験の翻訳：服薬指導や在宅で培ったリスク評価や調整力を事例で提示
- 学習ログ：学会、研修、eラーニングのコース名と学習時間を明記
職務経歴書のコツはSTARで書くことです。
状況、課題、行動、結果を1案件ごとに短く要約します。
応募先の職種記述に合わせてキーワードを入れ替えます。
英語要件が気になる場合は、TOEICの点数だけでなく、英語での達成事例を一つ添えましょう。
6. CRO・製薬会社・一般企業を横断比較｜働き方比較
6-1. 仕事内容の比較
- CRO：臨床試験の運用、品質、報告を担う要素が中心
- 製薬会社：研究から市販後まで、職種の幅が最も広い
- 一般企業：品質、安全性、企画、コンサルなど多様で横断的
6-2. 年収・働き方の比較（目安）
- CRO：500〜700万円。経験で上振れ。残業はプロジェクト次第
- 製薬会社：600〜900万円。外資や専門職で高水準
- 一般企業：500〜700万円。成長企業で役割拡張の余地あり
6-3. 向き不向きの比較
- CRO：段取り、交渉、出張が苦にならない人に向く
- 製薬会社：専門性の深掘り、規制順守に粘り強い人に向く
- 一般企業：仮説検証やプロダクト志向で越境したい人に向く
年収はあくまで目安です。
ポジション、企業規模、勤務地、語学で変動します。
賃金水準の全体像は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で確認しましょう。
👉 参考：https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
7. よくある質問（Q&A）｜未経験でもいける？
Q1. 未経験からCROや製薬に行けるのか
A. 関連学習の可視化で入口は広がります。
GCP、統計、英語の3点を短期で仕上げ、職務経歴書に学習ログを明記します。
現職での品質改善や薬歴データ活用のミニプロジェクトも有効です。
Q2. 40代・50代は年齢で不利にならないか
A. 職種によりけりです。
マネジメント含みのQAやPV、MAは経験値の厚みが武器になります。
即戦力の期待が高いので、成果事例の提示が不可欠です。
Q3. 英語が苦手でも応募できるか
A. 部門によって要求水準が違います。
英語が必須の部門は早めに学習計画を引きます。
読解に偏るなら内製連携が多いポジションから始める手もあります。
8. 企業転職に強い転職エージェント5選【2025年版】
企業領域の情報は社外から見えにくいです。
非公開求人と推薦文の品質で結果が変わります。
以下の5社で相見積もりを取り、担当者の相性も見極めましょう。
ファルマスタッフ
- 日本調剤グループ直営で企業求人の紹介事例あり
- 製薬会社や医薬品卸の案件にアクセスできる強み
- 面接同席や書類添削など支援が手厚い
ファゲット（PHGET）
- 老舗の薬剤師特化でCRO・製薬の非公開求人が豊富
- 研究、開発、安全性、学術など職種の幅が広い
- 年収アップ交渉に強くキャリアの打ち手が多い
ファル・メイト
- 派遣・紹介予定派遣で治験関連や品質領域の入り口を確保
- 短期で現場経験を積み、企業常勤へつなげる戦略が可能
- 柔軟な働き方で学習時間を確保しやすい
アポプラス薬剤師
- 製薬、CRO、医療機器など企業系に強い実績
- 品質、薬事、MA、安全性などの専門職紹介に強み
- キャリアの棚卸しと推薦文作成の精度が高い
レバウェル薬剤師
- 全国ネットワークで地方案件やリモート併用も提案可能
- キャリアチェンジ案件や時短制度のある企業も紹介
- 30〜40代のミドル層支援に強いコンサルが在籍
9. まとめ｜働き方比較で最短ルートを選ぶ
CROは段取りと交渉で成果を出す仕事です。
製薬会社は専門性を深めて大きな価値を作る仕事です。
一般企業は医療の課題を事業で解決する仕事です。
どれを選ぶかは、年収、専門性、生活の優先度で変わります。
本記事の比較軸と準備リストを使い、最短で合格に近づきましょう。
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